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わかっていそうでわかっていない原型の話(その1)


モデルカーの製造にあたって、無くてはならないのが原型です。おそらく多くの方が、原型をオス型として、それを乾くと固まる粘土のようなものに埋め込んでメス型を作り、そこにレジンを流し込んで複製してモデルカーの部品が作られていると考えられているのではないでしょうか。
部品によってはそれは間違いではありませんが、ボディなどの複雑な形状をした部品に関してはそう簡単にはいきません。たとえば、多くの方が幼少期に遊んだであろう、スーパーカー消しゴムのようなものであれば、その製法でも生産は可能です。なぜならスーパーカー消しゴムは無垢のゴムの塊で窓もタイヤも灯火類もすべて一体成型されているからです。
ところが、メイクアップのモデルカーのように、窓は別パーツで、タイヤも別パーツ、そしてインテリアも再現するとなると、必然的にレジンの塊ではボディとして成立せず、「中身を刳りぬく」必要性が出てくることになります。そのために型は「ボディの外観を再現するための役割」と「ボディの内側を刳りぬく」というふたつの役割を担うことになるのです。

詳しくはその2,その3で解説

そのふたつの型を組み合わせた時に出来る「隙間」がレジンの「通り道」となって、レジンの乾燥後の成型物が出来上がります。その通り道は成型物にもなりますが、文字通りトロトロに溶けたレジンがスムーズに行きわたるための通り道としても設計しなければなりません。レジンが綺麗に流れ込まないと、成型不良となってボディ側に欠損や、穴が開いたりすることはイメージしていただけると思います。

3D CAD設計では断面などの確認がしやすい

以前は原型師が切削性に優れたケミカルウッドに加工を加えて無垢の原型を作り、その内側を手作業で繰り抜いて……と言った気の遠くなるような作業が行われていました。一方、現在は3D CADで原型を設計するために、ボディの肉厚や裏側のディテールなども一度に設計でき、それを3Dプリンターで出力したものが原型となります。そのため成型物(レジンの通り道)も事前に形状を把握してシミュレーションできるので、かつての手原型の時代のように、成型用の型を作ってみたは良いものの、いざレジンを流しこんだら、その通り道が確保されておらず成型不良が頻発したといったトラブルは未然に防げるようなりました

3D CAD設計になっての弊害をよく尋ねられますが、モデルカーに関していえば、それはゼロと言っても過言ではなく、開発期間の短縮や、均一なクオリティ、そして正確なプロポーション表現など、数多くのメリットがもたらされています。


text : Makoto Ukai

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